卵の王様


疲れて眠っていたら、いくつも夢をみた。いやーな夢もいくつかあったけれど、夢うつつに覚えておこう、と思った夢がひとつ。目を覚ましたらやっぱりはっきりとは思い出せない。「不思議の国のアリス」に少し似ている。

男の人(素敵ではなかった)に道案内だか人助けをしたら、喫茶店をやっているので、お礼にパンケーキをごちそうします、と言う。ついていくと、壁にドア。ドアを開けるとエレヴェーターになっていて、これに乗って上階にある店に行くと言う。他に3人くらいの人が乗っている。エレヴェーターが上昇するにつれて、室内もどんどん大きくなっていき、白く大きな空間に。気がつくと、いつのまにか人が大きくなったり、小さくなったりしている。壁に大きさの違ういくつものドアがあって、それぞれに合う大きさのドアに入って行き、どこかへ行ってしまった。私はというと、ちょうど合う大きさのドアがなく、困ってしまう。

白い部屋から、昔ふうの宝石店に。外国のよう。ボルドーの絨毯、ほの暗い照明。フロアの真ん中に地下へとつづく大きな螺旋階段。ぽつぽつとショウケースがあって、誰もいない。
とにかく小さくならなければ、と思っていると、両手の中に銀紙に包まれたいくつかのキャンディが。これで大きくなったり、小さくなったりできるようだ。赤い文字でなにか書いてあるけれど読めない。すると、銀色のポットのような物から、サーカスの衣装を着たロシアの娘が出て来て、文字を訳してくれると言う。それなのに何故か断ってしまい、娘は消える。適当にキャンディを口に入れて、なんとか満足のいく大きさになる。

フロアを歩いていると、いろいろな物が置いてある(対のガラスの置物しか覚えていない)。大理石の台の上に、目と口が描かれた卵型の白い紙が置いてあって、頭の部分にも紙を王冠の形に切った物が乗せてある(襟もあったような・・・)。この卵の顔が、宝石店の「キング」らしい。このキングがひらひらと舞い上がり、人間のように話しだす。親切そうな人だ。
なんでも24時間以内にこの宝石店を出ないと、現実の世界に帰れなくなり、置物に姿を変えて、永遠に此処に居続けなければならないそうだ。対のガラスの置物も、もとは双子の少女か少年だったらしい。そしてキングが帰る方法が記してある本の存在を教えてくれる。
店内を探していると、古い辞書のような分厚い本が見つかる。女の子が身につけるべきマナーや服の着かたなど、なんでも載っているバイブルのような本。この中から帰る方法が載っているところを探し出し、宝石店を出ないといけないのに、女の子(私ではなくなっている)はぐずぐずしてなかなか帰ろうとしない。女の子はキングに恋をしてしまったのだ!
キング以外のものは全てもとは人間。他の人間がキングになりすまして嘘を言っているかもしれない。それでも女の子はこの卵の形をしたものこそキングだと信じ、現実に帰る機会を逃してしまう。姿を変えて永遠に此処に居ることになってしまったけれど、女の子はそれほど不幸だとは思っていない。

・・・という夢。本当はもう少し面白いはずだったのに。夢を言葉にするのは難しい、というか下手!