ファッションと戦争


重さが2kgほどもありそうな、「ファッション―18世紀から現代まで 京都服飾文化研究財団コレクション」。ベッドにもたれながら眺めていたら、本を乗せていた腹部が圧迫されて苦しくなってしまった。

生地の美しさ、シルエット、色の組み合わせ、デザイン、細やかな刺繍などに感嘆する。何度も写真をじっくり観れば観るほど、その美しさ、技術に驚いてドキドキしてしまう。
特に惹かれたものを挙げようとしたけれど、多すぎるのと、うまく言葉で表せられないのでやめます。。

ブロケード、ダマスク、タフタ、サテン、シネ・ア・ラ・ブランシュ、アルジャンタン・レース、カヌレ、ブイヨネ、シュニール、ファイユ、モワレ、モスリン、シフォン、チュール、パイエット。生地や飾りの名前にもうっとり。

溜息の出るような美しいドレスなどが載せられているこの本を眺めながら不思議に思ったのは、現在でも驚くような技術、技法、美意識、才能によって美しいものが作り出された同じ時代に、私が子どもでもおかしい、と思うような度重なる戦争、不公平な制度、理不尽な裁き、迫害、制圧などが行われていたということ。
ドレスを作る人と政治の舵を取る人は違うし、全く別の問題かもしれない。不公平な制度がなければ、豪華なドレスを身につける人も少なく、すばらしい服飾技術や文化も生まれなかったかもしれない。白いものがあれば黒いものも存在する、そういうものなのかもしれないけれど。現在も。

いつもこんなことを考えているわけではありませんが、美しいドレスに感嘆しながら浮かんだ素朴な疑問です。
ファッション―18世紀から現代まで 京都服飾文化研究財団コレクション